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宅建業免許に必要な要件とは

免許を受けるための要件

宅建業の免許を受けるには、宅建業法で定められている「欠格要件」に該当しないこと、「法令の制限に該当しないこと」が必要な条件です。下記に要件を記載していますが、おおまかな目安となります。提出された申請書類を元に、実態を調査して免許許可の判断が行われています。また、免許を受けた場合でも「欠格要件」に該当することになった場合は、免許が取り消されることになりますので注意が必要です。

免許を受けるための要件
  • 欠格要件に該当しないか
  • 免許の申請者の要件
  • 事務所の要件
  • 政令使用人(常勤の責任者)設置の要件
  • 専任の宅地建物取引士設置の要件
  • 従業者について

欠格要件

免許申請者が欠格要件のいずれかに該当するときには免許されません(免許がおりません)

1.免許申請の手続き関係
免許申請書やその添付書類中に重要な事項についての虚偽の記載があり、重要な事実の記載が欠けている場合
2.申請者の要件
申請前5年以内に次のいずれかに該当した者
  • 免許不正取得、業務停止処分事由に該当し情状が特に重い場合または業務停止処分違反に該当するとして免許を取り消された者
  • 前記の者が法人である場合は、免許取消処分の聴聞の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者を含む
  • 前記のいずれかの事由に相当するとして、免許取消処分の聴聞の公示をされた後、相当の理由なく解散または廃業の届出を行った者
  • 前記の聴聞を公示された後、相当の理由なく合併により消滅した法人の役員であった者
  • 禁錮以上の刑に処された者
  • 禁固以上の刑に処せられ執行猶予がついた場合は、執行猶予中は欠格要件に該当しますが、執行猶予満了し刑の効力が失われた場合はその時点で欠格要件に該当しません
  • 宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止などに関する法律に違反し、または刑法(傷害、脅迫など)、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金刑に処せられた者
  • 宅地建物取引業者に関し不正または著しく不当な行為をした者
  • 暴力団員による不当な行為の防止などに関する法律に規定する暴力団員または暴力団員であった者
破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
心身の故障により宅地建物取引業を適性に営むことができない者
3.申請者の法定代理人、役員、政令使用人の欠格要件
申請者の法定代理人、役員、または政令使用人が「申請者の要件」に該当する場合
・法廷代理人
営業に関し成年者と同一の能力を持たない未成年者の親権者または後見人のこと
・役員
業務を執行する社員、取締役またはこれに準ずる者(法人に対しこれらの者と同等以上の支配力を有する者を含みます。相談役も顧問、その他いかなる名称を有するかを問いません)
・政令使用人
事務所の代表者で契約締結権限を有する者(支店長、営業所長など)
4.事務所の要件
事務所に専任の取引士が設置されていない者
  • 欠格要件に該当していることを隠して申請し免許を受けた場合、取消しになります

免許の申請者の要件

  • 個人、法人のいずれでもできます
  • 法人の場合は「商業登記簿」の事業目的欄に宅建業を営む旨の登記がされていることが必要です
  • 申請書の商号または名称が次のようなものである場合は、免許を受けられないので注意してください
法令などによってその商号または名称の使用が禁止されているもの
地方公共団体や公的機関、指定流通機構の名称とまぎらわしいもの
変体仮名、図形、符号などで判読しにくいもの
商号または名称が次のような物である場合は免許が受けられません
  • ○○○県住宅会社
  • 〇〇○公社
  • ○○○不動産供給事業団
  • ○○○不動産流通機構
  • ∂∂∂株式会社

政令使用人の要件

政令使用人とは、宅建業法施行令第2条の2で定める使用人のことで、「宅建業に係る契約を締結する権限」を有する従事者のことです。(支店長、営業所長などが該当します)。
申請者である代表取締役などが事務所に常勤する場合は、政令使用人(支店長、営業所長など)を置く必要はありません。従たる事務所(支店)で、申請者である代表取締役などが常勤していない事務所には、政令使用人を置く必要があります。

政令使用人は、その事務所に常勤することが必要です

本店(主たる事務所)の政令使用人を設置する要否

申請者である代表取締役が事務所に常勤する場合
政令使用人の設置が必要ない
申請者である代表取締役が事務所に常勤しない場合
政令使用人の設置が必要
申請者である代表取締役が他法人の代表取締役または役員を兼務している場合
他の法人における勤務状況により判断されます

支店(従たる事務所)の政令使用人を設置する要否

申請者である代表取締役または申請者以外の代表取締役が、支店(従たる事務所)に常勤する場合
代表取締役以外の政令使用人の設置は必要ない
申請者以外の代表取締役は申請者である代表取締役と権限は同等ですが、申請上は政令使用人として設置します。併せて、申請者である代表取締役が支店に常勤する場合は、本店には政令使用人の設置が必要になります。
専任の取引士のみが事務所に常勤する場合
政令使用人の設置が必要
政令使用人の設置が必要となる事務所の体制
  • 申請者である代表取締役が事務所に常勤しない
  • 従たる事務所(支店)の常勤が専任の取引士
  • 従たる事務所(支店)に申請者以外の代表者が常勤する

事務所について

事務所の範囲

  1. 本店または支店として商業登記されたもの(商業登記簿に記載されているもの)
  2. 継続的に業務を行うことができる施設であること
  3. 宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人が置かれている(責任者が常駐している)

留意点

  • 本店で宅建業を行わなくても、支店で行う場合は本店も「事務所」になるため、本店には営業保証金の供託と専任の宅建士の設置が必要になります。これは、支店で行う宅建業について、何らかの中枢管理的な統括機能を果たしているためです。
  • 支店の登記があっても、支店で宅建業を行わない場合は「事務所」として扱われません。その際は「支店で宅建業を行わない旨の誓約書」の提出が必要です。
  • 支店の名称を「○○支店」として免許申請する場合は、商業登録が必要です。
  • 商業登録を行わない場合は、名称を「○○営業所」「○○店」など、「支店」という言葉を仕様せず、申請する必要があります。

事務所要件の適格性

物理的にも社会通念上も独立した業務を行うる機能をもつ事務所として認識できる程度の形態を備えていることが必要です。一般消費者のプライバシー保護やクーリングオフの対象となるかなど、「消費者が事務所であることを明確に理解できる必要がある」ため、独立していることが免許の要件になっています。

テント張りやホテルの一室などは認められません
ひとつの部屋を他の者と共同で使用する場合も原則として認められません

区分所有物の管理規定上、事務所としての利用が認められており、かつ、住居部分と区別され、独立性が保たれている必要があります。(写真や平面図で事実確認できるようにする必要があります)また、管理規約上、事務所の使用が認めらていない場合や、商号の掲出(看板を出すこと)が難しい場合など、消費者などが出入りする事務所として安定して使用することが困難と認められる場合は、事務所として使用することができませんので注意が必要です。

ただし、独立性が保たれていると認められる場合があります
申請の際、写真や平面図を添付して事実確認できるようにする必要があります
写真や平面図で「独立性が保たれているか」を事実確認できるようにする
  • 事務所内部全面(事務所としてのみ使用しているか)
  • 入口からの経路(事務所の独立性が保たれているか)
  • 入口から事務所まで、他の事務所内を通らずに直接出入りができること
  • 他の事務所が、申請者の事務所を通らずに行ける場所にあること
  • 固定式のパーテーション(180センチ程度以上)などで明確に区切られている
  • 入口(商号または名称の表示・看板・郵便受けなど)
  • 建物全体

専任の宅地建物取引士について

宅建業者は、事務所や宅建業法第50条2項に規定する案内所などには一定の数の専任の取引士を置かなければなりません。
このことに抵触する事務所などを開設してはならず、免許後に既存の事務所などが抵触するに至ったときは、2週間以内に新たに補充をするなど必要な措置をとらなければなりません。

事務所にて宅建業の業務に従事する者5人に1人以上の数が法律に規定する専任の取引士の人数
「専任」とは、その事務所に常勤すること(常勤性)と宅建業だけに従事する状態にあること(専従性)の2つの要件を満たしている必要があります。
常勤性・専従性の意義は、時間的・空間的概念に止まらず、業務に専心することの意味であり、原則として他に業務を持ち得ないものであること
専任の取引士となる者が、通常の勤務が不可能と認められる場所に住んでいる場合などには専任の取引士に就任することはできません。
専任の取引士の兼業については、その法人が宅建業者であるかないかに関わらず、他の事務所に従事している者や他の法人の代表者(代表取締役など)である者は、「専任」とは認められません。
監査役は専任の取引士になることができません。

業務に従事する者に含まれる者

前述の通り、専任の取引士は事務所にて宅建業の業務に従事する者5人に1人以上の数が法律に規定されています。「業務に従事する者」の定義は、下記の通りです。

個人業者本人、法人業者の代表者、直接営業に従事する者は、必ず含まれます
継続的な雇用関係にある物であれば、パートタイマーなど形態を問わず、宅地建物の取引に直接関係する業務に従事する者は含まれます
宅建業のみを営んでいる(専業)業者の場合、常勤役員の全てが含まれる他、庶務・経理などの一般管理部門に従事する者も含まれます

専任の宅地建物取引士が他の業務を兼業する場合の適否

専任の取引士は、宅建業に専任しなければならないことから、原則として他に業務を持ちえないものであることが必要となりますが、他の職業を兼務する場合にそれを認めるかどうかについては、勤務実態・業務量を汲み取り、判断することとなります。

宅地建物取引士は、専任性が認められないため、業務の兼業をすることはできません
別事務所で行う行政書士などの士業を含め、全ての業態
他の法人に勤務している代表者・常勤宅員・従業員(雇用形態を問わず)
宅地建物取引士が他の法人の非常勤役員と兼業する時は、専任性が認められます
宅地建物取引士として事務所に常勤する必要があります
非常勤証明書の提出が必要です
同一法人内
・建築士法上の専任の管理建築士
・建設業法上の専任の技術者
・不動産鑑定評価法上の専任の不動産鑑定士
兼務する職業を所轄する法令において、専任する者の兼任を認めて以内場合は不可

同一個人業内・同一事務所内
・行政書士・土地家屋調査士などの士業
施行関連法令において、専任する者の兼任を認めて以内場合は不可
・小売業・飲食業など
兼業部門について代替要員が確保されているなど、常時宅建業を優先して勤務できる体制であることが前提
専任の取引士が他の業務を兼業する場合の適否の判断、審査
  • 下記の書類などを元に事実関係を確認することになります
  • 出勤簿の押印状況
  • 給与などの支払いを証するもの
  • 定期券の有無(遠距離通勤の場合など)
  • 兼務する法人に係る商業登記簿登記事項証明書
  • 兼務する法人が発行する非常勤証明書
専任の宅地建物取引士を設置する場合の注意点
  • 宅地建物取引士は、必ず事務所に常勤する
  • 業務に従事する者5名に対して、宅地建物取引士は1名の割合で設置が必要
  • 原則として、宅建業に専任する

従業員について

従業者証明証の携帯義務

宅建業者は従業者に従業者証明書を携帯させなければならず、従業員証明書を携帯していない者が業務に従事することのないようにしなければなりません。その範囲は「業務に従事する者」に非常勤の役員と単に一時的に事務を補助する者を加えたものであり、代表者を含みます。

宅建業者は「従業者証明書」を発行して従業員に携帯させなければなりません
従業者証明書の携帯義務がある者

宅地建物取引士、宅建業務に従事している者、庶務・総務などの一般管理部門、一時的に業務の補助を行う者、非常勤役員、全ての常勤役員、社長

従業者証明書の有効期限

5年以下

一時的に業務に従事する者に携帯させる証明書の有効期間については、他の者と異なり業務に従事する期間に限って発行するなど悪用防止に努めなければなりません。

従業者証明書を発行した者は「従業員名簿」にすべて記載し、取引の関係者から求められたときには閲覧に供しなければなりません。また、神奈川県に登録している取引士が従事先の登録を申請する場合には、当該取引士は従業者証明書を提示することが求められます。

従業者証明書の様式

国土交通省令によって様式が定められています。従業者証明書の作成・発行は宅建業者が行います。

従業者証明書の記載事項
  • 従業者証明書番号(番号は宅建業者が発番するが、番号の付け方に規則あり)
  • 従業者氏名
  • 従業者生年月日
  • 事務所の名称及び所在地
  • 証明書有効期限(5年以下とし、一時的である場合は業務に従事する期間に限る)
  • 宅建業免許番号
  • 称号または名称
  • 主たる事務所(本店)の所在地
  • 代表者氏名
  • 社判
  • 従事する事務所に変更があったときには、裏面に変更後の内容を記入し、事務所の長の印を押印すること
  • 従業者の現住所等必要な事項がある場合には、裏面に記入すること
  • 宅建業法第48条の抜粋を記載すること
従業者証明書の仕様
  • 横の寸法は、8.547cm以上 8.572cm以下
  • 縦の寸法は、5.392cm以上 5.403cm以下
  • 顔写真の添付(写真サイズは、横2.4cm 縦3.0cm)
  • 運転免許証のサイズと同じくらいです
  • 用紙の色彩は青色以外とすること
従業者証明書番号の例
201101
  • 第1桁・第2桁 当該従業者が雇用された年の西暦下2けたを記載する
  • 第3桁・第4桁 当該従業者が雇用された月を記載する
  • 1月から9月は第3桁を0とする
  • 第5桁・第6桁 従業者ごとに重複がないように番号を付ける
  • 従業者が100名を超える場合は7桁となり、下3桁を連番号とします
  • 例:2020年11月入社の3名に番号を付けた場合 201101、201102、201103
  • 新規免許申請の場合は、前4桁は申請した日の月となります
  • 退職者の番号は欠番にして、採用者には新たに番号をつけます

従業者証明書について
  • 宅建業に携わるすべての従業員に発行し、携帯させる義務がある
  • 大きさは運転免許証サイズで、様式に規定はあるが作成と発行は宅建業者が行う
  • 従業員は取引の関係者に求められた場合、従業員証明書を提示する義務がある
  • 有効期限があり、5年以内となっている

従業者名簿の備え付け

主たる職務内容の欄には、代表者または役員である場合は役職名を記入し、それ以外のものについては、総務、人事、経理、財務、企画、設計、営業などに区分して記入します。

また、記載されている従業者が退職または異動によりその事務所に勤務しなくなった後も、その記録を廃棄してはならず、最後の記載をして名簿を閉鎖した時点から10年間保存しなければなりません。

なお、本名簿は取引士の登録の際の実務経験を証明するための資料にもなります。

宅建業者は事務所ごとに「従業者名簿」を備え付けなければなりません
従業者証明書を発行した者についてはすべて従業員名簿に記載し、取引の関係者から求められたときには閲覧に供しなければなりません
従業者名簿に記載する者

事務所に勤務している従業者すべて(監査役は従事者となることができません)

従業者名簿の保存期間

10年間

最後の記載をした時から10年間保存しなければなりません。

従業者名簿の様式

宅建業者が事務所ごとに作成し、保管します。

従業者名簿の記載事項・規定
  • 従業者氏名
  • 従業者性別
  • 従業者生年月日
  • 従業者証明書番号(従業者証明書の番号を記載する)
  • 主たる職務内容
  • 宅地建物取引士であるか否かの別
  • この事務所の従業者となった年月日
  • この事務所の従業者でなくなった年月日
  • 宅地建物取引士である者には、○印を付ける
  • 一時的に業務に従事するものについても記載する
  • 記載すべき時効が発生した場合には、2週間以内に記載する
  • 記載事項について変更または訂正などするときには、変更前・訂正前の文字などが判読できるようにしておく必要があります

従業者名簿の仕様

  • A4版の横版で作成することが一般的です
  • すぐにプリント出力できる場合は、データで管理可能です
従業者名簿について
  • 事務所ごとに名簿を備え付ける必要がある
  • 最終の記載をした日から10年間保管する
  • 取引士であるか否かも記載する
  • 変更・訂正があった場合は2週間以内に記載する
  • 変更・訂正前の文字も判読できるようにしておく
  • この名簿は、取引士が登録する際に従事期間を証明するための資料にもなります

免許申請の要件まとめ

手順の注意点

  • 開業前に免許申請が必要
  • 申請から免許取得まである程度の時間を要する
  • 免許申請がおりた後でないと営業保証金の供託(義務)ができない
  • 免許後に営業保証金の供託を3ヶ月内に行わないと免許取り消し処分になる場合がある
  • つまり、「とりあえず免許申請だけしておこう」といったことができない

免許がおりた後に保証協会の入会または供託所への供託手続きを行いますが、3ヶ月内に行わない場合は免許取り消し処分を出される場合があるので、注意が必要です。開業準備、書類の準備、申請、手続き、多くの事柄を手順に注意しながら行う必要があります。

なぜなび宅建業*申請さん
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